ミンミンとうるさかったセミが、近頃道路によく落ちている。
潰されて、あるいは分断されて、
とにかく道路を歩いてるとやたらとセミの死体を見かける。
僕はそのセミの死体を踏んづけないように歩いている。
気持ち悪いだとか、靴が汚れるとかじゃなくて、
死体を踏んづけるというのは感覚的に好きじゃない。
だから、踏んづけないようにとても気をつけて歩いてる。
むかし、何かの授業で先生にこう聞かれたことがあった。
「人間は死んだらどこへいくと思う?」
幼い僕はこう答えた。
「死んだらお墓にいきます」
先生は苦笑いした。
いや、いまもそう思ってるけど。
死ぬってのはまだ僕には分からない。
映画やドラマで人が死ぬのはたくさん見たけど、
やっぱりなにか身近なものとして実感が湧かない。
でも一ついえるのは、セミたちは立派に生きて、死んだんだと思う。
だから僕は、踏まないように気をつけている。
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