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2024/11/17 20:30 |
即興小説第三番「ファーストネームってお前これどうしろと?」




はいはい、みんな3題話しの時間だよ
え、今日のお題はなんだって?

えーと、今日のお題はねぇ……

ファーストネーム
星の終わり
粉雪

やった!当たりを引いた気分だ!
こいつはマトモな小説が書けそうだぜ!



その日。
地球滅亡の日。異常気象の影響か、この街に初めて雪が降った。

ただ、その粉雪に目をくれる人なんてどこにもいなくて、人々はせわしそうにしていた。
滅亡を前にして、きっとやり残した事をしようとしているんだろう。

そんな中、僕は一人眺めのいい古びた公園のベンチに座っていた。
他の人たちとは違い、あいにくと僕には家族も友人もない。
することもなく、長年連れ添った相棒(狙撃銃)とこの星の最期の時を眺めてやるつもりだった。


それにしても、と人生を振り返る。
長いこと殺し屋をやっていたが、結局僕のやってきたことはなんだったのだろう、と。

僕だけじゃない。
すべての人間、生物がこうして不条理な死にさらされるというなら、その存在はなんだったのだろう。
生物はこの滅亡を見るために歴史を積み重ねてきたというのだろうか。

そこで僕は考えを止める。
感情的になっている、悪い傾向だ。

その時、背後から近づいてくる足音がした。
僕はそいつに振り向きはせず、たばこを一本くわえライターで火をつける。


「あんたが、中条だな」

「僕を殺しに来たのかい?  ご苦労なことだ。
残念だけど、僕はカロリーの無駄づかいはしたくない」

「あんたの都合なんて関係ないさ」

男、いや声からして若い少年は、銃のセイフティ(安全装置)を解除した。
見ずとも音で分かる。銃口は震えながら、僕を向いていた。

「そんなことをしなくても、僕たちはどうせ死ぬ」

「美樹の……妹の仇だ、お前は俺が殺す」

「そっか、じゃあ殺せ」

抵抗しようなんて気分じゃなかった。
どうしようと、死は確定している。
どう死のうかなんてこだわりもなかったし、興味もなかった。

そして、少年は躊躇いもなく僕を撃った。
12発装填式のオートマチックのマガジンが空っぽになるまで、弾丸は僕を貫いた。

銃を撃ち尽くしたあとの少年は、その場に立ち尽くしていた。
高揚感から一転して虚しさがこみ上げてくるその感覚は、僕にも覚えがあった。

「気は、済んだか?」

かすれ声で、僕は聞く。

「……あぁ」

少年は答え、ピストルを放り投げ、去った。

そして作者も、ファーストネームというお題を投げ、終えた。



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2006/12/14 23:01 | Comments(0) | TrackBack() | 三題話し

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